Hat house

敷地は六甲山脈の麓、神戸市の閑静な住宅地にある。その昔、段々畑であった石積み擁壁を基盤に今では、六甲山にむかって住宅が積層している景色の途中にある。日当たりが良く、不揃いな住宅が建並びながらも、南面(海側)に開いた形状の住居が多く、ある種の均質さがある。 
 
 この計画では、内壁を南面(海側)の光に対し斜に構え、壁の軸を45度に傾けた。外壁は敷地形状通りに東西に細長い長方形とし、45度に延びる壁を間口5.8m、奥行き13mで一旦、囲いとった形としている。これにより、南の開口に対して5.8mしかなかった奥行きが、斜めに約8.2mとなることで、光のグラデーションがより明確に現れる。また、45度に傾けた壁により、東から西に移り変わる光を空間の奥行きの違いや素材の変化で光がクロスし、溶け合い、多次元にわたり光のディメンジョンを感じる。また、プランに回遊性をもたせ、あらゆる方位へ体感的な奥行きを発生させている。