house Ym apartment renovation

神戸の山の手にある築32年の共同住宅の一戸をリノベーションするプロジェクトである。
六甲山系と瀬戸内海の間にある傾斜地に神戸はある。六甲山を越えて来る北風と穏やかな瀬戸内海からの海風、また、海と空に反射した光の色は、関西の中でも神戸独特の雰囲気を醸し出している。ポップなパステルカラーが似合う街。

この共同住宅の横には六甲山系から流れる川がせせらぎ、それが風に乗って部屋の中に爽やかな風と音をもたらしている。東から西まで180度パノラマビューのバルコニーからは、神戸の海やポートタワー、夜になると、神戸のきらびやかな夜景が見えるロケーションが特徴である。
既存の間取りは、共同住宅にありがちな玄関から廊下、各部屋へと動線が一方向のツリー型のプランであったが、水廻り中心にコア配置することで、回遊性のあるプランとすることができた。回遊性のあるプランにしたことで、人の動線だけでなく、風や光を家中ムラなく循環させる計画とした。
南側にある約40畳あるリビングは、ただ大きいだけでなく、日の当たる場所や、みんなとお話しする場所、くつろぎながら読書を楽しんだりする場所など、さまざまな居心地をつくっている。
大きなリビングや各部屋を通して光が入っていくことで、光のグラデーションができ、空間に奥行きが生まれ、建具を開け放てば、空間全体に心地の良い風が抜け、川のせせらぎが聞こえてくる。建具を閉めると個々の空間が成立する。

パブリック性の高い場所の壁、天井には、サーモンピンクの漆喰を採用し、淡いパステルカラーで整えた。各部屋は、白を基調とし、床には六甲山のヒノキをフローリングに加工した。さらに、施主こだわりのインテリアやタイル。

この場所の特性を活かし、仕上げ材料にもこだわることで、光や風、音など五感をくすぐる、ゆったりとした時間の流れる空間になった。